刺繍の素材「刺繍糸と地布」・・・その2
紀元前四世紀のギリシャで刺繍されたウールの地布も残されているし、蒙古やシベリアの古墳からも同じ頃のものが見つかっています。
馬の鞍に用いられたものは、多色のフェルトの布をモザイク風に配置したアップリケ(二〇×二〇センチ)だし、壁掛けはベージュの地布に赤・青・黄・黒などで騎士が、やはり、アップリケされています。
二千年も昔の作品とは思えないほど生き生きしています(二二〇×一一〇センチ、両者ともレニングラード・エルミタージュ美術館所蔵)。
毛織の地布のものはカーテン、カバー、クッションなどに用いられ、防寒を主な目的としたものと思われます。
リネン(亜麻)の地布は軽くて加工しやすいという利点を持っていました。
しかし、地布の中で最も美しくて高価なのは絹地であり、それに絹糸、または、金糸で刺すと、絹地はすばらしい光沢をあらわすようになるので、十世紀に金糸刺繍が盛んになってからは、なかでも綾織の絹地が地布として用いられるようになりました。
しかし、その絹地を補強するためにも、リネンの裏地が張られることが多いです。