刺繍の素材「刺繍糸と地布」・・・その4
ドイツ皇帝ハインリヒニ世の奥方クニグンデのマントには一センチ幅に五十六本の金糸が平行に並べられています。
古い時代の金糸は金の含有量が多く、特に明るく輝いていましたが、のちには銅を多くまじえて赤味を帯びるようになります。
なお、中世後期には絹糸か亜麻糸の芯に薄い金箔を巻いたり、パエットという金属の小片を散らしたり、色つきのガラス玉を模造真珠として用いたりしました。
河真珠という小粒のものや珊瑚も用いられ、真珠刺繍工という特別の職人さえあらわれました。
金銀糸の刺繍には、平らにならすためにハンマーさえ用いられたほどだですが、一般に刺繍糸はしなやかでやわらかく、しかも丈夫であることが第一の条件でした。
しかし、見た眼に美しく、変色しにくいことなども、やはり、大切な条件だったそうです。